2018年5月11日金曜日

さまざまなイデオロギー圏(ver.2)

以下、さまざまなイデオロギー圏についてのメモです。
 
※社会文化史あるいは文明史はイデオロギー圏の増殖の歴史である。
※仮想領域のイデオロギー圏の中で具体的な仮想イデオロギー現象(行為、出来事、ハナシ)を張り巡らす。そのように張り巡らされた世界がわたしたちにとって重要な(
siginificant)実在である。
※そして、わたしたちは、主として言語、より広くはさまざまな記号によってイデオロギー界を立ち現せ操縦する(operate)ことができる。
※ 1はいろいろな意味ですべてのベースラインで、短潔で臨機応変な言説実践で構成され共有される日常生活のイデオロギー圏。2から6は、テクスト的に練り上げた言説実践によるイデオロギー圏。そして、それらはしばしば1の脈絡でそれに編入される。そのときは、しばしば「断片的でくずれた」形になる。各イデオロギー圏の間には重要な間テクスト性の関係がある。そして、それらが主要部を占める場合に、7となる。

1.日常生活のイデオロギー圏
※わたしたちが経験するのはイデオロギー的な行為、イデオロギー的な出来事、イデオロギー的な「あなた」と「わたし」である。わたしたちの経験でイデオロギー的でないものはない。
※日常生活のイデオロギー圏は、きわめて多種多様である。生活活動のさまざまな領域、生産や仕事の活動のさまざまな領域を考えよ。ただし、仕事という場合にホワイトカラーの仕事は高次のイデオロギー圏での仕事になることに注意(cf.7)。
※そして、しばしば2から6の要素が変形されて編入される。
(1)生活のイデオロギー圏
(2)生産・仕事のイデオロギー圏
(3)インターアクティブな日常的なトークのイデオロギー圏

2.ナラティブのイデオロギー圏
(1)日常的状況でのナラティブのイデオロギー圏 ─ 一方向的な一人語り的な話
(2)あらたまった状況でのナラティブのイデオロギー圏 ─ 体験・経験などのお話会・講演。カウンセリングセッションや尋問などで引き出されるナラティブも含むか?
(3)自叙伝の世界

3.物語のイデオロギー圏
(1)神話のイデオロギー圏 ─ 原始的な部族の創世神話なども
(2)叙事詩のイデオロギー圏 ─ ホメロスやヘシオドス(口承、吟遊詩人の系譜)、古事記(稗田阿礼)や日本書紀
(3)歴史物語のイデオロギー圏
(4)昔話・説話のイデオロギー圏 ─ 今昔物語集、うつほ物語
 → フィクションのイデオロギー圏へ

4.規律のイデオロギー圏
(1)基本的な振る舞い方のイデオロギー圏 ─ しつけ、約束事、校則
(2)倫理・道徳のイデオロギー圏 ─ 人として生きる道
(3)宗教のイデオロギー圏 ─ 聖典。(2)の要素も含まれるし3の(1)の要素も含まれる。
(4)法律等のイデオロギー圏 ─ 法典、憲法と法律と条例など。

5.学問のイデオロギー圏
(1)自然科学のイデオロギー圏
(2)人文科学のイデオロギー圏
(3)哲学のイデオロギー圏
(4)サイエンスのイデオロギー圏

6.芸術のイデオロギー圏
(1)演劇のイデオロギー圏(イーリアス、オデュッセイア)
(2)戯曲のイデオロギー圏
(3)歴史的物語のイデオロギー圏
(4)物語のイデオロギー圏
(5)小説のイデオロギー圏

7.教養のイデオロギー圏
(1)さまざまなテーマのイデオロギー圏
(2)文化活動のイデオロギー圏
(3)ホワイトカラーの仕事のイデオロギー圏
(4)詩のイデオロギー圏
(5)随筆のイデオロギー圏

Q&A

Q1 なぜ、イデオロギー世界ではなく、イデオロギー「圏」か?
A1 すべての基本は生きることの営みです。そして、わたしたち人間は、自然界で生きる存在でありながら、イデオロギー圏でも生きることを営む存在だということになります。自然界は、環境と身体と生理機能や本能に基づくものとしていわばもともと自然としてそこにあるものなので、自然「界」でよいと思いますが、イデオロギーの世界は、(1)もともとの自然としてはそこにない、(2)人間の創造物としても(a)実在としてそこにあるものではなく、(b)常に構成・再構成を続けて産出と維持をすることによってこそ立ち現れるものなので、仮想領域としてイデオロギー「圏」があって、そのイデオロギー圏に具体的な(言語的や記号的)振るまいによって具体的なイデオロギー現象(行為や出来事やハナシ)を立ち現せ(張り巡らせ)共有するということになると思います。ですので、やはり、このリストでは、イデオロギー圏、です。

Q2 「ナラティヴ」とか「語り」という言葉を、どんな次元で論じるのかで人によって捉え方が違うと思われる。上のさまざまなイデオロギーでは、2としてナラティブのイデオロギー圏を、そして3として物語のイデオロギー圏を挙げているが、例えばブルーナーの言うナラティブはもっと包括的な概念ではないか?

A2 上に書いたように、(1)すべての基本は生きることの営み。その上で、(2)人間には社会文化史的な生きる世界(イデオロギー圏)の発展ということがある。ですので、それをまず望観してみた、ということになります。上に書いたようにイデオロギー圏というのは仮想現実の領域です。そして、その仮想現実の領域があるものとして、わたしたちは言語や記号を操縦して(operate)して、行為、出来事、ハナシなどの具体的なイデオロギー現象を立ち現せて(張り巡らせ)共有する、となります。ここで、ハナシという新しい用語を提案したいと思います。物理的な活動に直截に関連する行為や出来事などのイデオロギー現象とは異なり、物理的な活動とは直截に関連しないという意味で脱脈絡的なイデオロギー現象をかもし出す行為とその産物の総称です。そして、そのようなハナシという用語を使うなら、2から7はすべてハナシとなります。ブルーナーにおけるナラティブは、ここに言うハナシのことを言っている場合もあるし、2を言ったり、3を言ったり、6を言ったりしている場合もあります。なので、広義のナラティブはハナシとし、2に限定してナラティブとしたほうがよいかなあと思っています。

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