1.欧米語のの場合は、文字としてアルファベットという記号を使い、それの組み合わせとして口頭言語をtranscribeしている。なので、26のアルファベットで文字指導は終了で、あとはスペリングの正確さを問わなければ、口頭日本語と書記言語の両方を使って言語習得を進めてもよい。スペリングの正確さを問わない書き方は、まあいわば「メモ」です。
2.しかし、日本語の場合は、文字そのものとして、ひらがな50、かたかな50、そして、漢字(基礎で)300、ある。
3.ひらがなとカタカナは、表音文字として学習・指導してよい。その場合には、2つの側面からの学習・指導が必要。(1)各文字の書き方・認識を学習・指導する、(2)知っている日本語の語やフレーズをそれに対応するひらがなの組み合わせやカタカナの組み合わせと照合して認識・再生できるように学習・指導する。そして、この(1)と(2)はうまく「行ったり来たり」しながら共強化しなければならない。
4.漢字の学習・指導の原理も、当面は上の3のひらがなとカタカナの学習・指導の場合と同じ。
5.ただし、ひらがな・カタカナと比べて、漢字はしばしば字形が複雑で構成的になる。それは、まあ象形は別途として、指示、会意、形成などの原理で一つの漢字ができているから。
6.なので、漢字の指導の場合は、3の原理を踏まえながらも、象形も含めた5の漢字の特性にも留意して指導するのが、「息抜き」にもなるし、漢字という文字の様子を知り、漢字同士の関係づけにも役立つということで、効果があるでしょう。
7.結論として、上の1−6を認識しつつ、3・4と6の原理に基づいてしっかり指導する必要があります。そして、3の(2)の「(2)知っている日本語の語やフレーズをそれに対応する(ひらがなの組み合わせやカタカナの組み合わせや漢字の組み合わせや漢字とひらがなの組み合わせと照合して認識・再生できるように学習・指導する)」という原理を実現するためには、口頭日本語で!知っている日本語の語やフレーズを増やすことが、書記日本語の技量を総体的に伸ばすための基盤になるということです。つまり、少なくとも基礎段階では書記日本語は二次的、派生的な日本語力だということです。8.この「書記日本語は二次的、派生的な日本語力だ」という認識が希薄になる傾向がしばしばある、ということです。
9.そして、日本語の指導の総体として重要なことは、音声(オーラル)日本語と書記日本語の有効な共形成です。
10.形成のためには「無理のない」じわじわの学習・学習指導が必要です。
日本語教育、日本語教育学、第二言語教育学、言語心理学などについて書いています。 □以下のラベルは連載記事です。→ ・基礎日本語教育の授業実践を考える ・言語についてのオートポイエーシスの視点 ・現象学から人間科学へ ・哲学のタネ明かしと対話原理 ・日本語教育実践の再生 ─ NEJとNIJ
2019年10月17日木曜日
2019年10月8日火曜日
入門初期のオーラル日本語と書記日本語の有効な共形成について
以下、2019年秋学期(10月スタート)の日本語集中コースの開始にあたり、コーディネータの立場から先生方に発信したメッセージです。集中コースとは、大学院進学予備教育で、週に毎日で、15コマ(各90分)×15週間というほんとうに「集中」コース(計337.5時間)です。このコースでは、学習と習得支援(教授)を支援するリソースとしてNEJを使用しています。
以下、貼り付け。
○ ぼくの「気がかり」
以前から、
(1)日本語の文字は「超厄介者!」。こんなヤツがなかったら、日本語の習得と習得支援はもっと楽々に行くのに!
(2)しかし、現にこの超厄介者があるのだから、コイツも含めて、何とかオーラル日本語と書記日本語の両方が順調に上達するようにプログラムを工夫するしかない。
(3)これまでの(IJでの)やり方はまだ十分に工夫されていない。
というのが「気がかり」でした。で、今学期。
○今学期の「指針」
1.ユニット4までは、オーラル日本語の習得を優先する。つまり、正書的に書かれた日本語を読ませるということはしない。ローマ字表記のテクストは「それ」を思い出すための「手がかり」として活用する。ローマ字表記のテクストも決して「読む」のではない。
⇒「Deciphering and mimicking Nihonngo」で、decipherging(解読)というのはローマ字テクストでの日本語の解読です。音声形態で優先して日本語を習得するための工夫です。決して、正書法の日本語テクストをdecipherさせないでください。
2.一方で、(1)(音声形態でおおむね習得した)語や句とその書記体との照合を通して音声形態の語や句の書記形態での姿を「見知る」こと、(2)「見知って」それをなぞること、などにより、(音声形態で知っている)語や句の書記形態での姿に馴染む練習は、適切なタイミングで「無理なく」豊富に行う。
3.さらに一方で、文字の書き方の指導は、基本としては語や句をベースにしながら、有効&巧妙に行う。
4.ユニット5以降も、「オーラル日本語習得の優先」を基本としてください。オーラルがまだ身についていないのに(正書法の)日本語を読ませるというのはしないでください。
5.書記形態での日本語を「後追い」の形で強化するために、ウィーク4以降に「Oral review and Reading and writing enhancement」というのを入れています。ここで、読み&書きの強化をします。
6.その他にも、(a)オーラル日本語優先、(b)オーラル日本語と書記日本語がうまく連係した日本語上達の工夫、がスケジュールに反映されています。
というようなことで、これまでの学期にも増してamazingな結果が出せるように、有効&滋養たっぷりの指導を、よろしくお願いします。
ご意見などありましたら、先生間で、また、わたしのほうにも!
西口
以下、貼り付け。
○ ぼくの「気がかり」
以前から、
(1)日本語の文字は「超厄介者!」。こんなヤツがなかったら、日本語の習得と習得支援はもっと楽々に行くのに!
(2)しかし、現にこの超厄介者があるのだから、コイツも含めて、何とかオーラル日本語と書記日本語の両方が順調に上達するようにプログラムを工夫するしかない。
(3)これまでの(IJでの)やり方はまだ十分に工夫されていない。
というのが「気がかり」でした。で、今学期。
○今学期の「指針」
1.ユニット4までは、オーラル日本語の習得を優先する。つまり、正書的に書かれた日本語を読ませるということはしない。ローマ字表記のテクストは「それ」を思い出すための「手がかり」として活用する。ローマ字表記のテクストも決して「読む」のではない。
⇒「Deciphering and mimicking Nihonngo」で、decipherging(解読)というのはローマ字テクストでの日本語の解読です。音声形態で優先して日本語を習得するための工夫です。決して、正書法の日本語テクストをdecipherさせないでください。
2.一方で、(1)(音声形態でおおむね習得した)語や句とその書記体との照合を通して音声形態の語や句の書記形態での姿を「見知る」こと、(2)「見知って」それをなぞること、などにより、(音声形態で知っている)語や句の書記形態での姿に馴染む練習は、適切なタイミングで「無理なく」豊富に行う。
3.さらに一方で、文字の書き方の指導は、基本としては語や句をベースにしながら、有効&巧妙に行う。
4.ユニット5以降も、「オーラル日本語習得の優先」を基本としてください。オーラルがまだ身についていないのに(正書法の)日本語を読ませるというのはしないでください。
5.書記形態での日本語を「後追い」の形で強化するために、ウィーク4以降に「Oral review and Reading and writing enhancement」というのを入れています。ここで、読み&書きの強化をします。
6.その他にも、(a)オーラル日本語優先、(b)オーラル日本語と書記日本語がうまく連係した日本語上達の工夫、がスケジュールに反映されています。
というようなことで、これまでの学期にも増してamazingな結果が出せるように、有効&滋養たっぷりの指導を、よろしくお願いします。
ご意見などありましたら、先生間で、また、わたしのほうにも!
西口
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