2019年10月17日木曜日

入門初期のオーラル日本語と書記日本語の有効な共形成について(続き)

1.欧米語のの場合は、文字としてアルファベットという記号を使い、それの組み合わせとして口頭言語をtranscribeしている。なので、26のアルファベットで文字指導は終了で、あとはスペリングの正確さを問わなければ、口頭日本語と書記言語の両方を使って言語習得を進めてもよい。スペリングの正確さを問わない書き方は、まあいわば「メモ」です。
2.しかし、日本語の場合は、文字そのものとして、ひらがな50、かたかな50、そして、漢字(基礎で)300、ある。
3.ひらがなとカタカナは、表音文字として学習・指導してよい。その場合には、2つの側面からの学習・指導が必要。(1)各文字の書き方・認識を学習・指導する、(2)知っている日本語の語やフレーズをそれに対応するひらがなの組み合わせやカタカナの組み合わせと照合して認識・再生できるように学習・指導する。そして、この(1)と(2)はうまく「行ったり来たり」しながら共強化しなければならない。
4.漢字の学習・指導の原理も、当面は上の3のひらがなとカタカナの学習・指導の場合と同じ。
5.ただし、ひらがな・カタカナと比べて、漢字はしばしば字形が複雑で構成的になる。それは、まあ象形は別途として、指示、会意、形成などの原理で一つの漢字ができているから。
6.なので、漢字の指導の場合は、3の原理を踏まえながらも、象形も含めた5の漢字の特性にも留意して指導するのが、「息抜き」にもなるし、漢字という文字の様子を知り、漢字同士の関係づけにも役立つということで、効果があるでしょう。
7.結論として、上の1−6を認識しつつ、3・4と6の原理に基づいてしっかり指導する必要があります。そして、3の(2)の「(2)知っている日本語の語やフレーズをそれに対応する(ひらがなの組み合わせやカタカナの組み合わせや漢字の組み合わせや漢字とひらがなの組み合わせと照合して認識・再生できるように学習・指導する)」という原理を実現するためには、口頭日本語で!知っている日本語の語やフレーズを増やすことが、書記日本語の技量を総体的に伸ばすための基盤になるということです。つまり、少なくとも基礎段階では書記日本語は二次的、派生的な日本語力だということです。8.この「書記日本語は二次的、派生的な日本語力だ」という認識が希薄になる傾向がしばしばある、ということです。
9.そして、日本語の指導の総体として重要なことは、音声(オーラル)日本語と書記日本語の有効な共形成です。
10.形成のためには「無理のない」じわじわの学習・学習指導が必要です。

1 件のコメント:

  1. 日本語の書き言葉は極端に難しい。小学校から10年勉強しても、日本人でも満足に漢字と仮名のバランスのよい文章を書ける者は少ない。しかし、できるようになる者もいる。それは自分で本を大量に読んで、見様見真似で習得するからである。二十歳を超えて、外国語を習得した者が絶無に近い日本語教育者では、そうしたことはわからないでしょう。「飼いならし」て「家畜化」するための日本語なら、いっそのこと昔みたいにローマ字で教えるのも一法である。実際、3Kを肩代わりするために、自由意思で日本にやって来る人達にはそれで十分でしょう。40年前には、初級日本語教育のおばさま方は鳩首凝議して、真剣にひらがな、カタカナを教えるのは学習者の負担になるから、ローマ字日本語で教えましょうと言っていた。そのころに出た水谷修の「モダーンジャパニーズ」にもローマ字がついていた。外国語と母語の両方を学習して初級ぐらいは教えられる者、学習者の母語を最低一つは習得した人、読める人が日本語教育はすべきであると思います。

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