2021年7月29日木曜日

オンライン日本語教育(オンライン日本語レッスン)の一提案 ─ 反転指導のすすめ

 オンライン日本語教育(オンライン日本語レッスン)の一提案 ─ 反転指導のすすめ


 現在、オンライン日本語教育(個人指導)が広く行われています。皆さん、従来の教材を使ってどんなふうにやってるんでしょうねえ。今回は、『NEJ ─ テーマで学ぶ基礎日本語』(くろしお出版)を活用した、反転指導でのオンライン日本語教育の提案です。□背景、□レッスン開始まで、□レッスンの方法、□コツ、の4段階に分けて要領を解説します。

□ 背景
1.反転授業
 反転授業(flip learningあるいはflip instruction)とは、学習者があらかじめに課題をやっておいて、その上で対面(オンラインでも!)の授業をするという形で教育成果をあげようとする教育方略です。

2.自己表現活動中心の基礎日本語教育の教育方略
※ 従来の初級日本語教育が入門からスタートするのと同じく、基礎日本語教育も入門からスタートします。
(1) 自己表現活動中心
 「自己表現活動中心」というのは、ただ文型・文法事項の知識を積み上げる方略ではなく、一方で、文型・文法事項の知識を積み上げながら実用的なコミュニケーションができるようにしようという方略でもありません。むしろ、自分をめぐるいろいろなテーマで日本語で話せるようになることをコースの目標とする教育方略です。もちろん、「話せるように」には、「聞いて理解できるように」と「会話できるように」も含みます。従来の初級日本語教育は、「文型・文法事項か!」と「実用的なコミュニケーション」かという古い二者択一の間で逡巡しています。自己表現活動中心の方法では、いろいろなテーマで日本語が話せるようになることと、それと並行して文型・文法事項や語彙を体系的に習得できることを実現した教育方略です。
 自己表現活動中心の基礎日本語教育の教育内容・教育目標をごくわかりやすく言うと、「日本語でおしゃべりができるようになる!」です。そして、その教育方略に基づく学習と教育実践を支える教材がNEJです。
・自己表現活動中心の基礎日本語教育とNEJ一般については、http://nej.9640.jpや、http://nej.9640.jp/sample_honsatsu.html を参照。
・自己表現活動中心の基礎日本語教育で扱っているテーマと、それに伴う文型・文法事項と語彙については、NEJのシラバス、http://nej.9640.jp/sample/contents を参照。

(2) 各ユニット
 自己表現活動中心の基礎日本語教育は、基礎前半で12のテーマ、基礎後半で12のテーマで日本語を勉強します。着実に勉強した学習者は、ユニットの終わりにはそのユニットのテーマについて自分のことを話せるようになります。また、そのテーマについての先生の話も理解できるようになります。そして、そのテーマで会話もできるようになります。24のテーマについては、上のシラバスをご覧ください。 

□ レッスン開始まで
1.教科書
 『NEJ ─ テーマで学ぶ基礎日本語』(https://www.amazon.co.jp/NEJ:-Approach-Elementary-Japanese-<vol-1>-テーマで学ぶ基礎日本語/dp/4874245501/ref=tmm_pap_swatch_0?_encoding=UTF8&qid=1627519619&sr=1-2)を入手して、上のhttp://nej.9640.jp/sample_honsatsu.html や http://nej.9640.jp/sample/contents  なども参考にして、自己表現活動中心の基礎日本語教育の教育方法や教材を研究する。
2.オンラインインタビューとオリエンテーション
・学習希望者を見つけたら、インタビューをして、NEJのどのユニットからスタートするのが適当か判断する。
・学習者に、NEJを入手することを指示する。その際に、NEJのpp.xii-xiiiの「For the Learners」(http://nej.9640.jp/sample_honsatsu.htmlの7ページ目)を見せながら、NEJを活用した自己表現活動中心の基礎日本語教育について説明する。また、http://nej.9640.jp/index.html#音声ダウンロード に音声ファイルがあるので、その場でダウンロードを指示する。

□ レッスンの方法
※ 少し既習者で、ひらがなは概ね知っていて、ユニット2から始めるのが適当と判断した場合を例として。
○ 1回目のレッスン
 各自で工夫して、ユニット2をオンラインで学習・指導してください。

○ 2回目のレッスン ─ 反転指導(flip learning、flip instruction
・家庭学習指示 ※1回目のレッスンの最後に!!
 ユニット3のナラティブAの1と2(上のhttp://nej.9640.jp/sample_honsatsu.htmlの11ページ目で参照できます)を、(1)注釈なども参考にしながら自分で勉強する、(2)オーディオを聞きながらナラティブをまねる練習をする、ことを指示する。

・レッスン(ナラティブを活用した学習を中心に)
 学習者はテクストを開いておく。必要に応じてテクストを見てもよい。
 テクストとオーディオの両モードでナラティブを提示しながら、(1)ナラティブの朗唱練習、(2)ナラティブの内容についてのQ&A、(3)ナラティブの内容と同種のことについて学習者の話を引き出す、(4)ナラティブのテーマについて教師の話をする、などの学習活動をする。Section3のUseful Expressions(上のhttp://nej.9640.jp/sample_honsatsu.htmlのpp.16-18で参照できます)なども適宜に活用する。
※ https://www.dropbox.com/s/wzkrkhciut5ljyz/unit03-A1%EF%BC%88%E6%BC%A2%E5%AD%97%E4%BB%AE%E5%90%8D%E4%BA%A4%E3%81%98%E3%82%8A%E7%89%88%EF%BC%89.pptx?dl=0 のようなPPTを準備すると、すばらしくレッスンが運営しやすいです。教科書に出ているイラストはすべて、『NEJ 指導参考書』(くろしお出版)付属のCDROMに入っています。

・次回レッスンに向けた家庭学習の指示
(1) 今回のレッスンで話したことをもとに、ナラティブをまね・参考にしながら、自分の場合のエッセイをワープロ(ワード)書く。そして、2−3日後に、メール添付ファイルで教師に提出。
※ 表記は、漢字仮名交じりでも、ひらがな中心でも、ひらがなとローマ字交じりでも、ローマ字でも、よい。その学習者のやりやすいように。
※ 提出されたエッセイは、次のレッスンまでに教師が添削。添削の方法は、間違いに取り消し線、「→」の後ろに赤で適切な日本語を書く、でよい。必要に応じて、行間にフィードバックも入れる。そして、レッスンの1日前までに学習者にメール添付ファイルで返却。
(2) ユニット3のナラティブBの1から3を、(1)注釈なども参考にしながら自分で勉強する、(2)オーディオを聞きながらナラティブをまねる練習をする、ことを指示する。

○ 3回目以降のレッスン
・エッセイの発表と適宜のQ&Aやフィードバック
・レッスン(ユニット3のナラティブBの1から3)
・次回レッスンに向けた家庭学習の指示(ユニット4のAの1と2)

□ コツ
 上のレッスンの下の※でhttps://www.dropbox.com/s/wzkrkhciut5ljyz/unit03-A1%EF%BC%88%E6%BC%A2%E5%AD%97%E4%BB%AE%E5%90%8D%E4%BA%A4%E3%81%98%E3%82%8A%E7%89%88%EF%BC%89.pptx?dl=0 を紹介しました。これは、ナラティブの1文づつ対応で作成したPPTカミシバイです。PPTカミシバイを作成すると、すばらしくレッスンが運営しやすくなります。自分でイラストを見つけて、もっと素敵なPPTカミシバイを作ることもできると思います。

新・日本語教育セミナー:表現活動の日本語教育の理論と企画と原理のご案内と登録要領

 新・日本語教育セミナー:表現活動の日本語教育の理論と企画と原理のご案内と登録要領

 以下のような要領で、自律学習とオンライン交流会の形でセミナーを開催します。日本語教育に従事している人、日本語教育経験者、日本語教育志望の大学院生の方などで、趣旨に賛同する方の参加をお待ちしております。参加ご希望の方は、下の参加申込の要領で参加の申し込みをしてください。

                                                                                      NJ研究会

                                                                                      代表 西口光一

 

Ⅰ.開催趣旨

 日本語教育の変革を実現するためには指導者一人ひとりが、

(1) 言語とコミュニケーションについての見方をクリティカルに反省し豊富化すること

(2) 第二言語の習得についての見方や習得支援の根本的なあり方を考えその原理を追究すること

(3) 企画・教材制作・教育実践からなる第二言語教育の総体を認識すること

(4) 高度な専門職として有効な企画のもとで責任ある実践をするという態度を身につけること

が必要です。本セミナーでは、表現活動の日本語教育を学び、また従来の日本語教育の内容と方法と表現活動の日本語教育を対照することを通して、上のような資質・能力の向上をめざします。

 

Ⅱ.参加申込と申込締切

https://forms.gle/6Nq5xnhP2Xq2cRt58 に行って、参加申込書兼ふり返りシートに必要な事項を記入し、ふり返りシートを完成して、8月20日(金)までに提出してください。この参加申込書兼ふり返りシートの提出をもって参加の申込となります。

参加申込をされ、参加が許可された方には、後日、各種の必要な案内をします。

※ 本セミナーについての問い合わせは、小原(obara2015@gmail.com)へ。

 

Ⅲ.参加募集人数等

 10名程度

※ 応募者多数の場合は、提出をいただいた参加申込書兼ふり返りシート(上記URLから)の中の「参加動機」と下のⅥの「詳しい参加資格」を照らし合わせて、今回参加者を選考させていただきます。「専門職として成長したい!」と真剣に考えている方の参加申込をお待ちしております。

 

Ⅳ.参加費

 無料。

※このセミナーは、NJ研究会のメンバー個々の自発的な意志に基づいて開催・実施されています。下のⅥの「主催者と参加者」をご参照ください。

 

Ⅴ.開催要領

□ 開催期間

 2021年9月から20222

□ 期間中のオンライン交流会

 各月の第1日曜日の8:30-10:00am。ただし、1月を除く。

□ 教材

 *(1)は各自で入手。(2)は配布します。

(1)『新次元の日本語教育の理論と企画と実践』(西口光一、くろしお出版、以降『新次元』と略す)

(2) 「表現活動主導の日本語教育」(西口光一、『思考と言語の実践活動へ』(ココ出版)pp.1-18

□ 目標

(1) 言語とコミュニケーションについての見方をクリティカルに反省し豊富化する。

(2) 第二言語の習得についての見方や習得支援の根本的なあり方を考え、その原理を追究して理解する。

(3) 企画・教材制作・教育実践からなる表現活動の日本語教育の総体を認識する。

(4) 第二言語の習得支援の方法を知り、その原理を理解する。

□ スケジュール

 ○第1クール

  自律学習

 『新次元』の

 ・はじめに

 ・プロローグ

 ・1章 新たな日本語教育の構想自己表現活動中心の基礎日本語教育

  オンライン交流会 202195日(日)8:30-10:00am

 ○第2クール

  自律学習

 『新次元』の

  ・第2章 新しい日本語教育実践の創造のための出発点1

        第二言語の習得促進要因の再考

  ・第3章 新しい日本語教育実践の創造のための出発点2

        習得対象としての日本語と日本語の習得

  オンライン交流会 2021103日(日)8:30-10:00am

 ○第3クール

  自律学習

  ・「表現活動主導の日本語教育」(『思考と言語の実践活動へ』のpp.1-18

  オンライン交流会 2021117日(日)8:30-10:00am

 ○第4クール

  自律学習

 『新次元』の

  ・第4章 言語の習得と集中的な習得支援対話原理とテーマ中心の教育

  ・第5章 総集的な習得支援と対話原理個別のテーマを超えた習得支援

  オンライン交流会 2021125日(日)8:30-10:00am

 ○第5クール

  自律学習

 『新次元』の

  ・第6章 産出活動と進んだ段階の習得支援

  ・第7章 文法と文法指導について

  ・終 章 全体の鳥瞰図としてのまとめ

  ・エピローグ

  オンライン交流会 202226日(日)8:30-10:00am

 

Ⅵ.セミナーの背景など 

□ セミナーの背景と問題意識

 日本語教育、とりわけ入門・基礎から中級にかけての日本語教育は、既存の物の見方と考え方、及びそれを背景とした教材と教育方法に「囚われて」います。そして、そのような「囚われ」の中で指導者(教師)はノルマとして与えられた文型・文法事項を教えることや教科書の特定部分をこなすことにいつも汲々としています。そして、いっしょうけんめい創意工夫をして指導を展開しても成果が上がらないことにしばしば悶々とします。

 現行の制度(物の見方や考え方や教材)とその中での実践は、学習者が日本語を上達させるという日本語教育の本旨を達成することができていません。そして、それだけではなく、現行制度のままでは指導者がいくら創意工夫をしたとしても日本語教育の本旨を達成することはできないでしょう。日本語教育に携わるものは、現行制度を変えて、わたしたちの実践を大きく変革することを真剣に考えなければなりません。日本語教育を変革するためには、現行制度の中でいかにうまくやっていくかの指導方法や指導技術ではなく、現行制度に代わる代替案とそれを担う優れた指導者の育成が必要です。

 NJ研究会では、現行制度とその下での教育実践の代替案として表現活動の日本語教育を提案しています。表現活動の日本語教育の教育実践を支援するためのさまざまなリソースもすでに利用可能になっています。

 

□ 詳しい参加資格

 以下の条件をいずれも満たす人。

(1) 日本語学校や大学等での日本語教育経験のある方や大学院生等で現在の日本語教育のカリキュラムや教材や教育方法等を知っている方

(2) 現在の日本語教育のカリキュラムや教材や教育方法等に限界を感じており、変革の方向を見つけたい方

(3) 日本語教育を自身のキャリアとして真剣に考え、今後もより高度な専門職として成長していきたいと考えている方

 

□ 主催者と参加者

 本セミナーは、上のような背景と問題意識を共有するNJ研究会のメンバー個々の自発的な意志に基づいて運営・実施されます。主催のメンバーは「専門職として成長したい、専門職として一段上をめざしたい」という参加者を応援するサポーターです。しかし、このセミナーを通して参加者の成長を請け負うものではありません。成長するために努力し、専門職として自己変革を果てして、成長していくべきは参加者一人ひとりです。

 主催者は以下のような役割をします。

1.各クールの最初に、勉強のためのオリエンテーション的な発信をする。

2.オンライン交流会を設定して、皆さんとともにそれに参加して、対話を深めます。

3.期間中に3回実施されるふり返りシートでの記述に対して必要に応じて助言等をする。(「助言を希望する」とされた方にのみ。)

※ NJ研究会については、https://www.mag2.com/m/0001672602 に行って、購読(無料)をお申し込みください。これまでの「NJ研究会フォーラム・マンスリー」を見ることができます。

 主催代表者については、https://www.facebook.com/profile.php?id=100004549323842 や、

https://koichimikaryo.blogspot.com などをご参照ください。

2021年5月22日土曜日

日本語教師養成をめぐる議論の整理

  間もなく始まる日本語教育学会(2021年5月22-23日)での会長挨拶にあるように、日本語教育学会としても「日本語教師の養成と研修」を学会が取り組む3大課題の一つにしています。課題2です。

課題1 :  日本語教育学の「学問的専門分野」としての体系的枠組みの構築

課題2 :  日本語人材・複言語人材育成のための日本語教師養成・研修の理念と

     枠組みの再構築

課題3 :  多様なキャリア形成のための日本語教育内容の体系的再編成


 この「日本語教師の養成と研修」というテーマ、すごくいろいろな観点や課題や制度などが複合してしまっていて、収拾がつかなくなっていると思います。このテーマが厄介なのは、(a)そもそも今「日本語教師」というような職業があるのかという問題(上の課題3に関係)と、(b​)学問的な専門分野として日本語教育学というようなものがあるのかという問題(上の課題1に関連)、が根本的にからんでいるからです。しかし、その要因をからめると話がますます混乱しますので、ここではあえて「日本語教師という職業が世の中に立派にある」と仮に前提して話を進めます(A)。また、これも話をわかりやすくするために、大学教育の一環にある課程と民間の日本語教師養成課程を区別する議論をします(B)。そして、そうしたステップを踏んで最後に、日本語教師養成課程の教育内容についてわたしなりの提案をし、またこのテーマについて現在わたしたちが直面している課題を述べたいと思います(C)。

*ここでは、これも話を一旦わかりやすくするために、「職業としての日本語教師」をめぐる問題に限定します。



A.日本語教師の養成と研修をめぐって

1.「日本語教師という職業が世の中に『立派に』ある」との前提の帰結

(1)司法書士、美容師、保育士などと並んで日本語教師という職業が「認定可能な形で」存在する。

(2)日本語教師という仕事の「内容」や「方法」があり、その仕事を遂行するための「資質・技量・能力」などを特定することができる。

(3)経験を積むにしたがってその職業人としての「資質・技量・能力」は相応に向上するので、日本語教師の中で、新任、中堅、ベテランなどの成長過程がある。

(4)「…『立派に』ある」との前提なら、養成から成長過程まで含めて日本語教師を「再生産」すればいい。

 このような状況があってこそ、日本語教師の養成と研修ということを実質のあるものとして議論できます。


2.上のような前提とその帰結があれば;

(1)日本語教師の養成としては、日本語教師が有している「資質・技量・能力」の基本的な部分を明らかにして、その育成をめざして養成が行えばよい。

(2)日本語教師の研修としては、適切な段階あるいは特定された役割に対応して「資質・技量・能力」を向上させる内容を明らかにして、それにふさわしい研修を実施すればよい。



B.民間の養成課程と大学の一環にある課程との対比

1.大学の教育課程に関するいくつかの前提の確認

(1)日本の大学では専攻(major)という制度がなく、基本的に「○○大学△△学部」というのが教育課程の基本単位となる。

(2)各「○○大学△△学部」では、その大学のその学部として達成しようとする教育の目標がディプロマ・ポリシーとして記述されている。

ゆえに、

(3)日本語教育の主専攻や副専攻を受講する場合でも、それはあくまで大学教育の一部として、あるいは当該の「○○大学△△学部」の教育の一環としてその内容が学修される。そして、その大学教育の全体は一般的には成人・社会人準備段階にある若者を対象に提供されることを前提としている。

2.民間の場合と大学の場合の大きな違い

(1)民間の養成課程は、基本として、大学の教育課程をすでに修了している(←「国家資格」の要件がそのようになっているので「大学修了」とした)成人・社会人を対象として、日本語教師という仕事をするために必要な「資質・技量・能力」に限定して提供される。つまり、「教養ある社会人・市民としての資質・能力・態度などはすでに身につけている人が対象」という前提。それに対し、大学での養成課程の場合は、Bの1の(3)のような事情で、「教養ある社会人・市民としての資質・能力・態度」を身につけることと並行して養成課程の教育が実施される。

(2)そのような事情なので、民間の養成課程の内容と大学での養成課程の内容は同じには設定できないと思います。他の言い方をすると、大学での養成課程の学修は大学教育のそれ以外の部分の学修と融合しているだろうということです。

3.民間の養成課程の教育内容と大学の養成課程の教育内容

(1) 2のような事情ですが、民間の養成課程の教育内容と大学の養成課程の教育内容を別途に策定するとまた混乱してしまうので、あえて一元的に設定するのが適当だろうと思います。また、いわば「本体」である大学教育を「日本語教員養成」ということに大きく偏重したものにならないように比較的スリムに設定するのがいいと思います。

(2) そして上の2のような事情をしっかりと認識して、大学での養成課程は大学のその他の課程とうまく融合させて、全体として養成課程の趣旨と大学教育としての趣旨が相互促進的に達成できるように企画するのがよいと思います。。



C.養成課程の教育内容についての提案と課題

 このような理路で仮に作ってみたのが、大学における日本語教育人材の養成の教育内容の私案(https://koichimikaryo.blogspot.com/2021/05/blog-post.html)です。この私案の中のAからCまでが養成課程の核で、全30単位の内容となります。そして、この30単位で文化庁の「教育内容」の50項目をカバーすることができます。(従来の民間の養成課程の420時間分もこれで十分となります。)

 一方で、Dはリベラルアーツ的な教育内容で、大学の専門課程の教育らしい内容が期待されています。この部分で、しっかりと日本語教育や言語教育一般や多文化共生などに関心をもつ「教養ある社会人・市民」としての資質・能力・態度を育成するのが大学教育の全体としてふさわしいと思います。また、Dの部分はその十分な専門的内容になりますので、大学院進学などさらなるキャリアの前進を考えている学生の「用意」にもなります。

 最後に課題ですが、大きな課題は端的にAが成り立つための「日本語教師という職業が世の中に『立派に』ある」という前提がないことです。そして、さらに敷衍的に言うと、日本語教師という職業が世の中に立派にあるわけではないし、それとも関連して、そうした職業を支える「一定の基盤」となる日本語教育学というものも十分に成熟していないという課題もあります。「一定の基盤」と言ったのは、現在日本語教育学は豊かに行われていると思いますが、(a)基盤として決定的に重要な部分がそれに含めているか、それがターゲットされて進展しつつあるかという問題と、(b​)豊かに行われている現在及び過去の日本語教育学でどの部分が「重要に」関連し、どの部分が「実用的に」関連しているかなどの関連の質的な違いも含めて関連の知識や知見が体系づけられているかという問題、があります。そして、間違ってはいけないのは、この日本語教育(の広い意味で)の実践と日本語教育学との関連の話と、日本語教育学の体系構築の議論は別物だということです。この2つもはっきりと区別して議論しないとわけのわからない「迷走」に入ってしまいます。


取り急ぎざざっと書いてみました。

皆さんから、ご意見やコメントなどいただければ。








2021年5月21日金曜日

大学における日本語教育人材養成の教育内容の私案

養成課程の教育内容 ─ 大学編

□ 概要

☆ 以下は、大学教育の一環(一環であり一部)としての副専攻(一定の資質・能力の修得と資格の獲得をめざした26単位以上の課程)と主専攻(専門職としてさまざまな分野の日本語教育を担当することをめざす者を「養成」する課程、日本語教育の専門職としてのキャリア開発も視野に入れる)についてのプロトタイプ的な私案。

 ※大学の卒業単位数は128単位前後。


A: ベタに日本語教師養成。
B: 教育内容的な関心に応えるという意味で、実践のための基礎教養となる内容と科目。
C: 専門職としてより広くより深く日本語教育を考えるための知識と素養となる内容と科目。
D: 教員の研究分野を背景として、広く人文学や人文科学の視点から、日本語教育や言語教育について一層深く探究する内容と科目。あわせて、その後のキャリアの進展の用意として研究活動のための基礎の養成を含む。
※上のほうが実践・教育的で下に行くほどリベラルアーツ教育的になる。
※ (  )は文化庁の「教育内容」での番号。
※AからCで必須の50項目をカバーする。

(1)副専攻
 AからCまでで、15科目30単位。(文化庁の副専攻としては「13科目26単位以上」となっている。)
(2)主専攻
 AからCまでの15科目30単位を含めて23科目45単位以上。
 ※学部の学修としては学部のディプロマ・ポリシーの達成をめざした諸科目がその学部の大学教育となる。主専攻はその一環・一部となる。

□ 領域と科目
 
A.実践科目
(a)日本語教育概論① ─ 総論
 (1)-(3)
 (20)-(24)
 (32)-(34)
(b​)日本語教育概論② ─ 教材とカリキュラム
 (25)-(26)
 ○各学習段階の日本語教育
  *ここに、「言語即物主義の日本語教育」を自覚させるために表現活動の日本語教育を入れる。
(c)日本語授業研究① ─ 総合日本語と学習者別日本語
 (31)目的・対象別日本語教育法
 (35)日本語教育とICT
 (36)著作権
(d)日本語授業研究② ─ 授業計画と教育実習
 (27)授業計画
 (28)授業実習
 (30)授業分析・自己点検能力

B.基礎専門科目(or実践基礎科目) ─ 言語の構造
(a)日本語の文法
 (39)と(43)
(b​)日本語の音声
 (40)
(c)日本語の文字・表記
 (41)
(d)日本語の形態・語彙・意味
 (42)と(44)
(e)言語学
 (37)一般言語学
 (38)対照言語学(日英対照言語学)
 ○コミュニケーションの能力
 (46)-(50)

C.専門科目(or専門教養科目)
1.言語と社会
(a)日本語教育の歴史と政策
 (4)と(7)
 *(5)言語政策(日本の言語政策と外国人政策)
(b​)社会言語学
 (8)と(45)
(c)言語政策(さまざまな国の言語政策と言語・民族・社会)
 (9)言語政策と言葉
 (13)多言語・多文化主義
(d)言語とコミュニケーション
 (10)-(12)
2.言語と心理と学習
(e)認知と言語と心理
 (14)談話理解
 (18)異文化受容・適応
 (19)日本語の学習・教育の情意的側面
(f)言語の学習と習得
 (15)言語学習
 (16)習得過程(第一言語・第二言語)
 (17)学習ストラテジー

D.高度専門科目(or高度専門教養科目)
(a)言語行為の探究
(b​)第二言語習得の探究
(c)学習の探究
(d)ことばの探究
(e)人権・平等等の探究
(f)人類と地球の現状の探究
(g)人文学/哲学・思想の探究

2020年5月12日火曜日

ビギナーを対象とした対話による日本語習得支援はありうるか?

CLE「開かれた例会と話題提供の意味について — オンライン開催、その後のやりとりから」(ルビュ言語文化教育第743号(2020年3月27日発刊)の「研究所より」を読んで

 ALCE第65回例会及びその後関係でいくつかのテーマについて考えたことをシェアしたいと思います。
まずは、経緯。
1.去る3月15日にALCEの第65回例会「ゼロビギナーと対話するとは — ことばを教えることが目的ではないなら、何が教室活動の目的なのか」がオンラインで開催された。
2.その報告がルビュの第742号の「研究所より」に掲載された。そこには、企画者の稲垣さんの自身のfacebook上でのまとめ(同日)の転載と、例会当日の配付資料のリンクもある。
3.2の裏で、稲垣さんのfacebook上のまとめに対して、参加者と企画者・主催者との間でやり取りがあった。
4.ルビュの第743号の「研究所より」に標記記事が掲載された。そこでは、稲垣さんのfacebook上でのやり取りの一部が掲載され、話題提供の意味(言語教育の「意味」と「価値」を問題にして、最終的にどのような人間の育成を言語教育はめざすべきなのか、ということを念頭においた言語教育実践についての話題提供)などが論じられた。

 この例会での議論の素材になったのは、2016年の9月から12月の3か月にわたってヴェネツィア・カフォスカリ大学で行われた対話プロジェクト「Action Research Zero Workshop」の最初の1週間の様子です。このプロジェクトについては、企画段階から本ルビュで公表されていたので知っていましたが、企画段階から参加者(日本語学習経験のない? カフォスカリ大学の学生?)のことを「ゼロビギナー」と呼んでいたので、このプロジェクトについては関心を喪失していました。(人のことを「ゼロ(ビギナー)」というふうに平気で「ゼロ」と呼ぶデリカシーのない人がすることにはどうも関心がもてません。また、残念ながらそんな人と対話する気にもなれません。「ゼロビギナー」という言い方は、日本語教育界全体で平気で使われていますが、それは日本語教育界全体のデリカシーのなさを示していると思います。「多文化共生」とか立派なことを言っている人が、よく「ゼロビギナー」なんていえるなあという感じ) 「ゼロビギナー」ではなく、「初習者」が適当だと思います。

 さて、「ご託」はこのへんにして…、と言うか、そもそもこの「ゼロビギナー」という言い方に初習の学習者に向ける誤った視線があります。かれらは決して「ゼロ」ではありません。 そう言うと、「いや日本語知識はゼロでしょう!」という声が聞こえてきそうです。
 わかりやすい「モデル」として、カミンズの二言語相互依存説を思い出してください。二言語相互依存説は、言語能力一般(わかりやすく言うと、BICSとCALPの両方)について言われていることではなく、CALPについて言われていることです。この点が重要です。
 BICSとCALPの重要な(決定的な?)違いは何でしょう。BICSは、ヴィゴツキーの言う生活的概念あるいはバフチンの言う日常生活のイデオロギーが関与する言語活動に関わる言語能力です。そして、それは、いわゆるリテラシー獲得以前の言語能力であり、ヴィゴツキー的に言うと直観的な言語的思考及びそれに相応する言語活動従事のみを可能にする言語能力です。つまり、BICS段階にある言語ユーザーは、言語活動に従事している自身のことばを自覚していないし、まだ真の概念を発達させていません。(この段階の子どもは一般的には「就学以前の子ども」ですが、今の子どもは就学前でもかなりのリテラシーがある、あるいはその準備が大いにできています。) それに対しCALPを十分に発達させている大人や小学校高学年以上の子どもなどは、思考と言語の発達の特定水準の意味としてリテラシーがあるということになります。そういう人は、真の概念を(子どもの場合は「一定程度」)発達させていて、cognitiveでacademicな知識を豊富に内具していて、概念的な言語的思考ができます。また、その言語活動の運営の仕方も多かれ少なかれ自覚的で随意的です(多かれ少なかれ意図的に話しているし、自分が何についてどのように話しているか自覚している)。ざっくり言語活動の特性として言うと、BICS段階の言語ユーザーは短い発話で「やんちゃに」しか話せない、CALP段階に至っている人は(「やんちゃに」も話せますが)拡張的なディスコースで穏やかに知性的に話をすることができる、ということになるでしょうか。そして、二重言語「相互依存」を可能にしているのは、豊富に内具されたcognitiveでacademicな知識です。その知識は元々はディスコースの形態をとっており、その元々の形態に容易に復元することができるのですが、定常の状態としては、言葉としての具現の側面がほとんど「蒸発」した言語的思考の「雲」となっています。この「雲」が二言語「相互依存」の重なり部分なのです。このように、言語的思考ということを考えると、基礎教育(義務教育程度、あるいは小学校だけでも)修了以上の人の場合の第二言語学習のスタート条件は決して「ゼロ」ではなく、第二言語での言語技量を発達させるために「重要な部分である8割方のところはあらかじめ用意されていると見るべきでしょう。(基礎教育を受けていない人の場合でも、やはり「ゼロ」ではありません。しかし、教室という空間での「仮想的な圏域」でのやり取り、つまりざっくり言うとその時の目の前にあるモノや状況に依存しない話、はひじょうに困難になります。) ただし、ここに言う真の概念を発達させているというのは、抽象的なものも含めて語義を知っているということではありません。もちろん、意識を単語に集中すれば語義をつかむことができるということはありますが、それよりもむしろ上に言ったようなcognitiveでacademicな知識を豊富に蓄えているという側面に注目するべきでしょう。
 言語の知識ではなく、言語的思考あるいは概念的思考ができることや、そうした思考を基盤として語りや他者との対話ができるという部分に注目すると、第二言語教育の企画や実践を考える目線も大きく変わってくるだろうと思います。

「書記言語バイアス」に基づく?日本語の授業

※ Zoomのことをよくご存じの方は、中程の「チャットの窓」からお読みください。

 コロナの影響で、リアル対面授業はできず、Zoom授業となっています。そして、今学期わたし担当の授業(の一つ)は、少人数の中国出身の学生だけです。こういう学生は英語では“students with kanji background”と呼びます。日本語では、漢字圏学習者や漢字系学習者となります。ぼくは、漢字系学習者のほうがいい呼び方だと思います。
 今、日本語の先生たちの間ではオンラインでいかに有効に授業を実施するかが突きつけられた大きな課題となっています。そして、この連休明けからいよいよ各大学でも日本語を含む語学の授業が始まっているようです。
 Zoomなどを使ったオンライン授業では、オンラインでいかにリアル対面の状況を再現するかという部分に関心が寄せられがちです。しかし、リアルとオンラインは、ざっくりと象徴的に言うと!「臨場感」において巨大な差があるわけで、Zoomくんにそれを期待するのは酷でしょう。(技術者さんはそういう「困難」を克服することを自らの「使命」としてらっしゃるわけですが、それはそれ。) それよりもむしろ、Zoomくんの特長(強み)のほうをよく知って、それを最大限に活用する授業を計画して実施するのがいいでしょう。そんな観点で、少人数の漢字系学生のみを対象としたZoomでの日本語授業を振り返ってみました。以下、その状況でのZoomの特長(強み)です。※以下は、Zoomのビデオ画面を開けて、実際にいじりながら読んでください。

1.オンラインの「楽さ」
 例えば1対3などだと、リアル対面だと学生はいつも先生に「包囲」されている感じでシンドイ(関西方言で、ひどく疲れる、きつい)。でも、オンラインだと「包囲」されていないので、楽。Zoom画面を通した授業を受講しながら、並行して「自分なりの勉強」ができる! ※ネガティブに言うと、「内職」ができるし、パソコンの別画面でゲームをしていても先生にはわからない。
2.ビデオ画面以外の画面① ─ 画面共有
 「画面共有」の緑枠の中で何でも見せることができる。インターネット上での検索作業と目標サイトをそのまま見せることができるだけでなく、YouTubeをも見せることができる。この共有画面は、上の緑の「画面を共有しています」という部分にカーソルをもっていくと、いくつかのアイコンが出てきて、そのうちの例えば「コメントを付ける」を選ぶと、共有された画面の上に上書きする形でホワイトボードと同じようにあれこれ書き込むことができます。
3.ビデオ画面以外の画面② ─ チャット
 ビデオ画面下の「チャット」ボタンを押すと、右にチャット画面が開きます。学生にも、ビデオ画面したに出てくる緑の「画面共有」ボタンの左にある「チャット」ボタンを押すように指示してください。
 チャット画面の一番下に「ここにメッセージを入力します」というのがあります。そこに入力をしてリターンキーを押すと、入力した文字がチャット画面に表示されます。学生も入力することができます。この要領で、学生とチャットができるわけです。「チャットの窓」は拡大縮小、自由です。
 また、「ここにメッセージを入力します」の上の「ファイル」というボタンを押すと簡単ファイルを送ることもできます。このファイルは「チャットの窓」に表示されて、向こうにいる学生も入手・ファイルオープンすることができます。もちろん、本来は、必要なファイルはあらかじめ送って学生にスタンバイさせておくべきですが。

 で、ぼくが注目するのは3の「チャットの窓」です。

 言うまでもありませんが、「チャットの窓」を利用すると、ビデオ画面でしゃべりながら、「チャットの窓」でもコミュニケーションができるわけです。要は、二元コミュニケーションができるということです。そして、これも言うまでもありませんが、漢字仮名交じりでも、漢字でも、ひらがな/カタカナでも、ローマ字でも、英語などでも、ワープロ入力できるものは何でも入力できます。もちろん、授業前にあらかじめ入力しておくこともできます。

 で、表題の「書記言語バイアス」に基づく?日本語の授業×少人数の漢字系学生のみの日本語授業で考えたこと。
 「書記言語バイアス」Written Language Bias”というのは、北欧のバフチン学はの中心人物の一人であるLinellの本のタイトルです。書記言語バイアスというのは、これまでの言語に関する研究があまりにも偏向(bias)的に書記言語を材料にした/書記言語と言語そのものとイメージした研究に片寄りすぎて、言語=ことばの本来の姿を研究者自身にもまた一般人にも「見失わせている!」と批判しての言葉です。もう少し言うと、ことばはもともと現実の生きる活動の現場で生まれ、その現場での活動を運営することに携わるという形で存在していたわけです。そして、今も。そして、それ以外のさまざまなことば=言語は間違いなくそうした様態のことばから「派生」してきたわけです。にもかかわらず、わたしたち(研究者も一般人も)はそれを忘れて、ことば=言語をその書かれた様態においてイメージすることにあまりにも慣れてしまって、書かれた様態のことば=言語がさも常態であるかのようにことば(=言語)を使っています。こんな話をすると、外国語教授法を勉強した人は「speech primacy(音声言語第一主義)」という言葉を思い出すでしょう。まあ、speech primacyと関わってはいますが、Linellの話はもっと「深いい話」です。
 で、ぼくは、少人数の漢字系学生のみの日本語授業にあたって、この書記言語バイアスを敢えて逆手に取りたいと思いました。つまり、漢字系学生の指導を考えると「書記言語こそ第二言語の促進基だ!」と主張します。そして、先の二元コミュニケーションで言うと、「チャットの窓」がその促進場所になります。

 はい、急いで結論に行きます。
※以下は、学生は「日本語ワープロを少しなりとも使ったことがある」との前提です。しかし、実際には「入力を日本語に切り替える」をしたら、以下のことができます。

結論
─ 「チャットの窓」を第一の窓と考える。
【貯え学習】─ 「チャットの窓」に語や句やディスコースをに入力する。そして、学生にも同じものを入力させる。そのときには、第二の窓であるビデオ画面から、指示をしたり、語や句やディスコースの音声提示をしたりする。
─ 「分からない」がおおむね生じない範囲でこれをするのがいいですが、「分からない」が生じたときは、さっさと媒介語で処理。あるいは、「自分で今調べて、チャットに報告して!」でいい!
─ そのような要領で、語や句やディスコースを学び、蓄積していく。第一の窓である「チャットの窓」と第二の窓であるビデオ画面は、前者がテクストの世界、後者が(画面がありながらも)音声の世界。この二人三脚で日本語を蓄積していくということ。
【形成的学習】
─ 次に、当該のテーマについての学生の話を第二の窓のやり取りで引き出しながら、第一の窓(チャットの窓)にキーワードを書き出してあげる。
─ 一通り話したら、チャットの窓に書きだしたキーワードを参考にしながら、もう一度整理して第二の窓(ビデオ画面)で話す。
─ この後は、それを作文にして提出など、適宜に。

 漢字系学生の場合は、漢字(テクスト、第一の窓)を見ればだいたい意味がわかる!しかし、それを適切に音声言語化(音声、第二の窓)できない、という点がキモです。ああ、この点がまさにWritten language biasですが。それを逆手に取る!!

 このアイデア、うまく伝わったでしょうか。そして、実は、このZoomの特長(強み)を活かしたアイデアは、非漢字系学習者の場合でも、実は大いに使えると思います。


 
 

 
 

 
 


2020年5月6日水曜日

公開webNJ研究会&交流会 on 2020年5月30日(土)午後1:00-5:00(日本時間)

公開webNJ研究会&交流会


 NJ研究会は、バフチンやヴィゴツキーらの言語観に基づく新しい第二言語教育の理論と実践を創造する、日本語教育者と第二言語教育実践者・研究者の対話と交流の場です。大阪大学国際教育交流センターを中心として活動をしています。
 今回のNJ研究会はweb上で開催することとなりました。それで、せっかくですので、公開としました。皆さん、国内各地、世界各地から気楽にご参加ください。
                             NJ研究会代表
                             西口 光一

□ 参加申し込み

以下のURLに行って申し込みをしてください。申し込みをいただいた方に、本zoom研究会&交流会参加の招待を送ります。

□ 日時

 2020年5月30日(土)
 午後1:00-5:00(日本時間)

□ 公開webNJ研究会 ─ 午後1:00-3:00

1.テーマ
ネット時代の日本語教育の内容と方法 ─ SAL​​​​​​​​​​​とSAL​​​​​​​​​​​​​​システムと学習・習得支援
※資料:「SAL​​​​​​​​​​​​​​への道」(序章から結びまで)https://koichimikaryo.blogspot.com/search/label/SAL%E2%80%8B%E2%80%8B%E2%80%8B%E2%80%8B%E2%80%8B%E2%80%8B%E2%80%8B%E2%80%8B%E2%80%8B%E2%80%8B%E2%80%8B%E2%80%8B%E2%80%8B%E2%80%8Bへの道
2.発題者
西口光一(大阪大学国際教育交流センター)
3.発題内容の箇条書き
─ 主タイトルの趣旨
─ NJとは何だったのか
─ NJからSAL​​​​​​​​​​​​​​へ
─ captive audienceからautonomous learner
─ SAL​​​​​​​​​​​​​​システムとsupported autonomous learning
─ 自律学習ということの中心は何か
─ 自律学習と学習支援
─ 学習支援と習得支援
4.実施方法
短い確認質問を受けながらの1時間ほどの話。その後は、テーマについてのディスカッション、及び、本テーマとからめつつ、現在ホットなテーマになっているオンライン授業についてディスカッション。
 NJ研究会としては「いつも通り(激しく!)」やります。NJ研究会のメンバー以外の方も参加していただくのは歓迎です。(が、できるかな?)

□ 休憩 ─ 午後3:00-3:15

zoomをオンにしたまま、各自飲み物などしながら、雑談。

□ 交流会 ─ 午後3:15-5:00

前半は、*自己紹介とご自身の日本語教育(学)に関する興味・関心と、*今ここで皆さんと話したいこと(あれば!)
※ *のいずれも、できればあらかじめテクストを作成しておいて、自分の順になったら、チャットに貼り付けてから話し始めてください。そのほうが、圧倒的にわかりやすい!
 後半は、「今ここで皆さんと話したいこと」(進行のほうでメモしておきます)と、本日のNJ研究会のテーマに関する議論。

□ 午後5:00終了予定


□ おまけ ─ 午後5時から

各自、好きな飲み物とつまみを持ってきて、web飲み会!?(もちろん、希望者のみ!)